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法制審議会(法相の諮問機関)戸籍法部会は2023年2月2日、戸籍に記載されていなかった氏名の「読み仮名」を必須とし、読み方の基準を定める戸籍法改正などの要綱案を取りまとめました。いわゆる「キラキラネーム」など、漢字本来と異なる読み方を認める範囲に一定のルールを設けるこの要綱案についてまとめました。
氏名の「読み仮名」を必須に
要綱案では、戸籍の記載事項に「氏名をカタカナ表記したもの」を追加しています。氏名の読みがなをカタカナで表記し、読み仮名の付け方については、読み方として「一般的に認められているもの」などに限定する規定を設けるとしました。
現在、名前の読み方はいわゆる「キラキラネーム」と呼ばれる個性的な名前なども多く、多様化しています。
キラキラネームとは
キラキラネームとは、伝統的でない当て字、外国人名、創作物の登場人物名などを用いた奇抜な名前の総称です。
命名に際しては、漢字は常用漢字表(2136字)と人名用漢字表(863字)の合計2999字であれば、自由に組み合わせて使えます。漢字の読み方について規定はなく、難解な読み方や当て字を使った「キラキラネーム」の名付けが可能です。
認められないケースの具体例
今回新たに設ける規定については、「社会に混乱を招く極端なものは記載されない」とし、そのうえで、辞書に載っている読み方だけではなく、載っていなくても、社会に一定程度受け入れられる読み方であれば認められる方向としています。
認められないケースの具体例としては
- 「高」と書いて「ヒクシ」と読ませるような、漢字の意味とは逆のケース
- 「太郎」と書いて「サブロウ」と読ませるような、読み違いか書き違いか分からないケース
- 「太郎」と書いて「マイケル」と読ませるような、漢字の意味や読みからは連想することができないケース
など、社会に混乱を招く極端なもの、または反社会的なものとしています。
個人データを検索しやすくし効率化させるのが狙い
これまで、読み仮名は住民票には記載されていますが、戸籍には記載がありませんでした。行政サービス間の連携が容易になるため、効率化の観点から改善が求められています。
法務省は2021年9月7日、氏名の読み仮名を戸籍の記載事項とする規定の整備等、戸籍法制の見直しについて法制審議会へ諮問すると公表し、現在に至っています。
すでに戸籍に氏名が記載されている人は?
施新生児らが初めて戸籍に載る際は、併せて読み仮名を記載することになります。既に戸籍がある全国民も届け出対象で、施行後1年以内に本籍地の市区町村に届けることになり、混乱も予想されます。
手続きは書面か、マイナンバー制度の専用サイト「マイナポータル」の利用を想定しています。
今後の流れ
施行は2024年度の見通しで、政府は今の国会に関連する法律の改正案を提出する方針です。また、原則認められないケースを法律が施行されるまでに通達で示すとしています。
出典